デイサービスの送迎時に家族が不在でも大丈夫?事前に相談したいこと
「仕事の出発時間が早く、デイサービスのお迎えに立ち会えない」「用事で、帰りの送迎までに家へ戻れない日がある」。そんなとき、家族が不在でも利用できるのか、迷うことはありませんか。
家族が不在でも送迎に対応できる場合はあります。ただし、本人の状態、自宅の環境、必要な支援、施設の対応体制を確認したうえでの判断になります。不在になることが分かったら、当日を迎える前に施設へ相談してください。
私は通所介護施設の施設長をしています。私の施設でも、家族不在時の送迎は、本人の状態や自宅環境を確認して個別に判断しています。この記事では、その実際の運用を紹介しながら、ご家族が相談するときに整理しておきたいことを説明します。
私の施設での対応
- 家族不在時の送迎は、本人の状態や自宅環境を確認し、個別に判断します。
- 玄関の開閉・施錠は、本人が行う場合と、事前に取り決めた方法で職員が対応する場合があります。
- 帰宅時、立ち会う予定の家族が不在で連絡もつかない場合は、施設へ連絡して対応を判断し、登録された別の連絡先にも連絡します。
ここで紹介するのは私の施設の運用です。利用する施設で対応できる範囲は、個別に確認してください。以下の質問例や確認メモは、相談を進めるための提案です。
1.朝のお迎えと、帰りの送りを分けて相談する
「送迎のときに家族がいません」と伝えるだけでは、朝と帰りのどちらなのか、毎回なのか、その日だけなのかが分かりません。まずは不在になる場面と時間を整理しましょう。
| 場面 | 施設と相談したいこと |
|---|---|
| 朝のお迎え時に不在 | 出発の支度、訪問への応答、玄関までの移動、出発時の戸締まりを誰が行うか。 |
| 帰りの送迎時に不在 | 家への入り方、室内への移動、戸締まりに加え、その後、本人がどのくらい一人で過ごす予定か。 |
| その日だけ不在 | 普段の受け渡し方法から何を変える必要があるか。当日に連絡がつく人は誰か。 |
| 毎週、決まった曜日に不在 | 継続できる方法か。ケアマネジャーも含めて、送迎前後の支援を調整する必要があるか。 |
帰りの送迎では、玄関の鍵を開けられることに加えて、家族が戻るまでの生活も考えます。例えば、室内での移動やトイレに介助が必要な場合、その支援をどう確保するかまで相談してください。
朝は本人だけで出発できても、帰宅後は疲れて介助が必要になる場合など、同じ人でも時間帯によって条件が変わります。朝のお迎えで了承されている方法を、確認せず帰りにも当てはめないことが大切です。
2.本人の状態と、自宅で困る場面を具体的に伝える
施設への相談では、本人ができることと、手助けが必要なことを分けて伝えます。「歩けます」「認知症があります」という情報だけで、家族不在時の送迎方法が決まるわけではありません。
- 訪問に気づけるか:インターホンや呼びかけに気づき、送迎職員が来たことを理解できるか。
- 出発の準備:着替えや持ち物の準備ができるか。家族が出勤前に済ませられることは何か。
- 家の中と玄関の移動:段差、階段、靴の着脱など、どの場面で支えが必要か。
- 帰宅後の過ごし方:休む場所まで移動できるか。家族が戻るまでに必要となる介助は何か。
- 本人の気持ち:家族がいないときの出発や帰宅に、不安がないか。
伝え方の例(説明のための架空の文例)
「インターホンには応答できます。玄関までは杖で移動できますが、上がりかまちを下りるときに支えが必要です。朝の着替えと持ち物の準備は、私が出勤する前に済ませます」
このように伝えると、どこで職員の支援が必要かを相談しやすくなります。病気や退院をきっかけに動作が変わった場合、玄関に物が増えた場合なども、その都度知らせてください。
本人が「家に職員が入るのは嫌だ」「一人で帰るのは不安だ」と感じている場合も、話し合う必要があります。家族の予定と本人の希望を両方伝え、納得できる方法を一緒に考えましょう。
3.鍵の開閉と、職員が手伝う範囲を決めておく
私の施設では、本人が玄関の開閉・施錠を行う場合と、事前に取り決めた方法で職員が対応する場合があります。ご家族が相談するときは、「鍵はどうしますか」という一つの質問を、具体的な場面に分けてみてください。
鍵は「開ける人」と「最後に閉める人」まで確認する
朝の出発時は誰が施錠するか、帰宅時は誰が解錠し、その後に誰が施錠するかを確認します。本人が行う予定なら、鍵を持参する必要があるか、どの時点で使うかも共有します。
職員に対応を相談する場合は、施設が認めている方法を聞いてください。合鍵の預かりなどに対応できるかは施設ごとの確認事項です。対応できる場合も、受け渡し・保管・返却、方法を変更するときの連絡について取り決めます。
鍵の置き場所を家族だけで決めたり、不在中の玄関を開けたままにしたりして対応するのではなく、防犯面も含めて相談しましょう。マンションでは、自宅の玄関とは別に、共用玄関のオートロックへの対応も確認が必要です。
家の中のどこまで、何を手伝ってもらうかを確認する
「自宅まで送ってもらえる」という説明でも、玄関先での受け渡し、靴の着脱、室内の椅子までの移動など、必要な支援は人によって異なります。職員に入ってほしい場所と、必要な介助を具体的に伝えてください。
厚生労働省のQ&Aでは、送迎に伴う居宅内の介助は、個別に必要性を判断し、ケアプランなどに位置付けて行うとされています。また、送迎前後の介助を一律にデイサービスへ任せる趣旨ではないことも示されています。この内容は、横浜市の令和8年6月版の運営の手引きにも掲載されています。[1][2]
着替えや食事の介助なども必要なら、施設だけで対応できるかを確かめ、ケアマネジャーにも相談しましょう。送迎時に初めて頼むのではなく、必要な内容を事前に共有することが準備につながります。
4.帰宅が遅れそうなときは、分かった時点で施設へ連絡する
家族が立ち会う予定だったのに、仕事や交通事情で間に合わなくなることもあります。遅れる見込みが分かったら、まず施設へ連絡してください。「数分なら大丈夫だろう」と、そのままにしないことが大切です。
伝えたいのは、誰の家族か、何時ごろ帰宅できる見込みか、代わりに対応できる人がいるか、折り返しの連絡先です。帰宅時間がまだ分からなければ、そのことも伝えます。
送迎の時刻は、交通状況などで前後する場合があります。普段から「何時ごろを目安に在宅すればよいか」「遅れる場合はどの番号へ連絡するか」を確認しておくと、急な変更時にも動きやすくなります。
予定外の不在時、私の施設では
帰宅時に立ち会う予定の家族が不在で、連絡もつかない場合は、施設へ連絡して対応を判断します。あわせて、登録された別の連絡先にも連絡します。
このときに備えて、第一連絡先だけでなく、つながらない場合の連絡先も登録しておきましょう。相手には、施設から連絡が入る可能性をあらかじめ伝えます。
また、「電話に出られる人」と「自宅へ行ける人」が同じとは限りません。連絡を受けるだけなら可能なのか、実際に受け渡しを手伝えるのかを区別して、施設へ伝えておくことが役立ちます。
待機や送迎方法の変更など、どの対応ができるかは当日の状況と施設の体制によります。家族が戻るまで必ず待ってもらえる、必ず送迎の順番を変えてもらえる、と考えず、連絡を取りながら確認してください。
5.そのまま使える、不在予定と帰宅遅延の連絡文
事前の相談と、当日の急な変更では、伝える内容が少し異なります。次の文例を、実際の事情に合わせて使ってください。
家族が不在になる予定を相談するとき
いつもお世話になっております。〇〇の家族の〇〇です。
〇月〇日(〇曜日)の【朝のお迎え/帰りの送迎】の時間に、家族が不在になる予定です。不在の時間は〇時から〇時ごろまでです。
本人ができることは____です。
____の場面では手助けが必要です。
本人は、この日の送迎について____と話しています。
家族不在での対応が可能か、鍵の開閉、必要な介助、連絡方法について相談させてください。
当日の連絡先は____です。つながらない場合の連絡先は____です。
施設が受け付けている方法で連絡し、返答を確認してください。メールや連絡帳に書いただけで、普段と異なる対応が決まったとは考えず、誰と、どの方法で合意したかを残しておきましょう。
当日、帰宅が遅れそうなとき
〇〇の家族の〇〇です。本日の帰りの送迎に、立ち会う予定でしたが、帰宅が遅れる見込みです。
帰宅できるのは〇時〇分ごろの見込みです/まだ見通しが立っていません。
代わりに対応できる人は____です/今は確認できていません。
いつもと受け渡しの条件が変わるため、対応をご相談したいです。折り返しは____へお願いします。
当日の変更は、施設が案内している急ぎの連絡方法を使いましょう。電話で伝えられる場合は、担当者の名前と確認した内容をメモし、家族の帰宅見込みが変わったときも連絡します。
6.送迎前後の支援が足りないときは、ケアマネジャーへ相談する
本人に必要な支援と施設の対応範囲が合わない場合は、送迎時の工夫だけで解決しようとせず、ケアマネジャーと生活全体を見直します。
例えば、朝の支度に継続して介助が必要な場合や、帰宅後から家族が戻るまでの時間に支援が必要な場合は、訪問介護などの利用を含めて相談する方法があります。必要性や利用条件、地域の提供体制を確認して、どの組み合わせが可能かを検討します。[1]
相談するときは、「仕事をしているので難しい」だけでなく、「毎週火曜日は、帰宅後に一人で過ごす時間が生じる」「朝の着替えと玄関までの移動に介助が必要」のように、曜日・時間・動作を伝えてください。
利用開始後も、本人の体調、動作、家族の勤務時間などが変われば、取り決めを確認し直します。普段の変化の共有には、デイサービスの連絡帳の書き方も参考にしてください。施設を選ぶ段階で送迎を相談したい方は、デイサービス見学で家族が確認したいこともご覧ください。
家族と施設で共有する、送迎の確認メモ
話し合った内容を記録するためのメモです。家族の希望と、施設が対応できると確認した内容を区別して記入します。施設に指定の用紙がある場合は、そちらを使ってください。
| 確認すること | 取り決め・確認した内容 |
|---|---|
| 不在になる日・時間 | 朝/帰り:____ その日だけ/毎週:____ 帰宅後、一人で過ごす予定の時間:____ |
| 本人の状態と希望 | できること・必要な介助:____ 本人の希望や不安:____ |
| 開閉・施錠と介助の範囲 | 誰が、どの場面で対応するか:____ 職員に依頼する介助・場所:____ |
| 家族への連絡 | 第一連絡先・つながりやすい時間:____ つながらない場合の連絡先:____ 自宅へ行ける人・対応できる時間:____ |
| 急な変更時 | 施設の連絡先・連絡方法:____ 予定どおり受け渡せない場合の相談内容:____ |
| 確認相手と残っていること | 施設の担当者・ケアマネジャー:____ 未確認事項・確認する人・予定日:____ |
鍵の保管場所や暗証番号などは、この一般的な確認メモには書かず、施設と合意した管理方法で共有してください。
家族不在の送迎を相談するときは、「不在でも大丈夫ですか」に加えて、本人の様子と、どの時間にどの支援が必要かを伝えてみてください。出発から帰宅後までを一緒に考えることで、本人と家族の生活に合う方法を相談しやすくなります。
参考資料
- 厚生労働省「平成27年度介護報酬改定に関するQ&A」(平成27年4月1日)問52・21ページ — 送迎に伴う居宅内介助の個別判断と、訪問介護との関係。
- 横浜市「運営の手引き 通所介護・横浜市通所介護相当サービス」令和8年6月版・54〜55ページ — 送迎時の居宅内介助と、上記国Q&Aの掲載内容を確認。
資料確認日:2026年9月29日。公的資料は居宅内介助等の説明の根拠として参照しています。本文の施設運用は筆者の施設での対応、質問例・連絡文・確認メモは家族向けに作成したものです。
