デイサービスに通い始めて起きやすいトラブルとその対策

|現役施設長が教える家族の安心ガイド
はじめに|「通所し始めて不安が増えた…」という声は多い
「母がデイサービスから帰ってきた後、なんだか不機嫌…」
「本人は『もう行きたくない』と言い出してしまった」
そんな声をご家族からいただくことがあります。
デイサービスは、在宅生活を支える心強い介護サービスですが、通い始めの時期にはいくつかの“つまずき”が起こることもあります。
この記事では、通所介護において実際に起きやすいトラブルと、現役施設長の立場からできる限りの対策と対応策を解説します。
1. 利用者が「もう行きたくない」と言う
最も多いのがこのケースです。
通所初日や数回目で「つまらなかった」「疲れた」と言われてしまうと、家族も戸惑いますよね。
よくある理由:
- 環境や人間関係にまだ慣れていない
- 活動が本人の興味に合っていない
- 送迎や移動のストレス
施設の対応例:
- 少人数グループや個別レクに一時的に切り替える
- 本人の関心を事前ヒアリングして活動に反映
- 送迎車での声かけや同乗職員の変更
👉 家族へのアドバイス:
初期は「本人の言葉」だけで判断せず、2〜3週は様子を見てみてください。多くの場合「慣れ」で改善します。
施設側もこの手の問題には慣れていますので心配が拭えないようであれば遠慮せずに質問をすると良いでしょう。
2. 施設での物品紛失(眼鏡・衣類・補聴器など)
デイサービスでは、1日中さまざまな活動が行われるため、私物の紛失も一定数発生します。
よくあるパターン:
- 他の利用者の持ち物と混ざる
- 本人が別の場所に置いて忘れる
- 衣類が他の人の洗濯物と混ざる
防止策:
- すべての持ち物にフルネームで名前記入
- 貴重品(補聴器・眼鏡)は職員預かりにする
- 施設内で持ち物チェックリストを運用
👉 家族へのアドバイス:
特に貴重品類の持ち込みは禁止としている施設がほとんどです。
どうしても持参が必要な物に関しては事前に施設側の許可を得ておいた方が良いでしょう。
3. 他の利用者とのトラブル(言葉の行き違い・認知症対応)
高齢者同士の人間関係も意外とデリケートです。
特に認知症の方が混在している環境では、些細なことで言い合いになることがあります。
施設での配慮:
- 人間関係の相性を見て座席配置を調整
- 間接的な活動(手工芸・個別運動)を選択
- 職員が会話のきっかけを調整し「仲立ち」する
👉 家族へのアドバイス:
トラブルがあったとしても、施設側は記録・共有・改善を行う体制を整えています。不安なときは遠慮なく相談をしましょう。
直接言いにくいようであれば担当のケアマネージャーに相談するのも良いですよ!
4. 送迎車での不安(到着時間・対応・会話)
送迎時の印象は、利用者の気持ちに大きな影響を与えます。
「丁寧に乗せてもらえなかった」「無言で怖かった」など、些細なことが理由で不信感を抱くこともあります。
施設の対策:
- ドライバー・同乗職員への接遇研修
- 時間の前後ぶれがある場合は事前連絡
- 車内での声かけ・安全確認を徹底
👉 家族へのアドバイス:
送迎の雰囲気について気になることがあれば、遠慮なく職員に相談するようにしましょう。
その他にも「玄関まで送ってもらえなかった」などと言った苦情もよく寄せられます。
これは施設側の対応不足が招いている問題ですので、気になった事はしっかりと相談するようにしましょう。
5. 家族が介護罪悪感を感じてしまう
「預けてしまって申し訳ない」
「自分で面倒を見るべきだったのでは」
そんな思いに苦しむご家族も少なくありません。
施設長の立場からの一言:
はっきり言って介護を1人で行うのは不可能と言えます。
通所介護は「ご家族の暮らしを守るための支援」でもあります。ご自身の自由な時間を日中に作りだす事ができるのです。無理をせず、頼れるものは頼ってください。
まとめ|「通い始めの不安」は自然なもの。だからこそ丁寧に向き合います
通所介護は、利用者本人にとっても、家族にとっても大きな変化です。
最初の不安やトラブルは、「慣れ」と「信頼関係の積み重ね」によって落ち着くことがほとんどです。
大切なのは「何かあったらすぐ相談できる関係性」。
そんな雰囲気の施設を選びたいですね!
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