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デイサービスの消耗品管理|欠品・二重発注を減らす在庫と発注の決め方

ケーさん

「残りが少ない」と聞いて注文した翌日に、別の職員が頼んだ同じ物が届く。反対に、倉庫には箱があるのに、必要な規格がなく買いに出る。消耗品の管理では、在庫の量だけでなく、何を数え、誰が注文し、いつ届くかがつながっていることが大切です。

施設長として在庫管理を見直すなら、購入金額と一緒に、欠品のために業務が止まる時間や、探し物の負担も確認したいところです。この記事では、紙タオルなど日常的に使う消耗品を例に、発注の目安と管理表のつくり方を整理します。

1.最初は、困っている消耗品を3品目まで選ぶ

最初から全品目を細かく管理すると、数える仕事だけが増える可能性があります。「緊急購入が続く」「同じ物を重ねて注文した」「期限切れが出た」など、実際に困っている品目から始めます。3品目という数は、取り組みを小さく始めるための提案です。

厚生労働省の生産性向上資料では、整理整頓によって探す時間を減らし、利用者に向き合う時間へつなげる考え方が示されています。[1]また、職場環境の整備では、改善項目の優先順位を付け、担当者や期限を決めて進めることが紹介されています。[2]

対象にする際は、一般的な日用品と、医薬品・専門的な機器など個別の管理手順が必要な物を分けます。この記事の計算例は、紙タオルのように規格と入数をそろえて数えられる日用品を想定しています。

金額と現場への影響を一緒に見る
確認点記録すること
なくなったときの影響どの業務に支障が出るか。事前に承認された代替品はあるか。
補充の難しさ通常の納期、休業日、まとめてしか買えない入数。
管理上の困りごと二重注文、期限切れ、別規格の混在、探す時間。
保管の条件保管場所、使用期限、温湿度等の製品指定、取り出しやすさ。

2.「品名・規格・単位・置き場所」をそろえる

同じ「1箱」でも、10パック入りと20パック入りでは数量が違います。管理表には品名だけでなく、規格や商品コード、発注単位、数える単位を書きます。

管理単位の例(架空)

品名:紙タオルA
規格:1パック200枚
発注単位:1ケース20パック
在庫を数える単位:未開封のパック
通常の保管場所:物品棚A・中段

この例では、開封した時点で通常在庫から払い出したものとして記録します。開封中の残りを毎回「0.3パック」などと測らない運用です。管理表の使用量は厳密な使用枚数ではなく、開封・払出したパック数として扱います。別の数え方を選ぶ場合も、途中で基準が混ざらないようにします。

倉庫から現場へ未開封のまま移しただけなら、施設全体の在庫が減ったわけではありません。保管場所が複数あるときは、通常在庫に含める場所を決めて合計します。破損品や期限切れなど使用できない物、災害用として確保する分は、通常の利用可能在庫と区別してください。

棚の表示と管理表の品名をそろえ、先に使用すべき物が取り出しやすい配置にします。製品に使用期限がある場合は期限も確認し、保管量が避難経路や安全な動線を圧迫しないようにします。

3.発注の目安は、使用量と納品までの時間から考える

「半分になったら注文」でも管理できる品目はあります。ただ、箱の大きさや納期が変わると判断しづらくなります。まず実際の記録から、1開所日あたりに払い出す数量を見積もります。

計算の前提(すべて架空)

  • 20開所日で払い出した量:40パック → 平均2パック/開所日
  • 発注から使用できる状態で納品されるまで:消費が発生する開所日4日分
  • 在庫を確認する間隔:1開所日
  • 通常の変動や納期のずれに備える余裕:6パック

発注を検討する水準の例
2パック ×(納品まで4開所日 + 確認間隔1開所日)+ 余裕6パック = 16パック

確認間隔を含めるのは、前回の確認直後から数量が減り、次に気づくまでの消費も考えるためです。毎日数えられず週に一度だけ確認するなら、その間の消費を同じ計算のまま見落とさないようにします。

「開所日」と「仕入先の営業日」は同じとは限りません。金曜日に注文して月曜日に届く場合も、土曜日に施設を開けていれば、その日の消費を含めます。発注締切、祝日、年末年始を含め、実際の注文日から物品を使える日までをカレンダーで確認してください。

平均だけでは、使用量の多い日や納期の遅れを吸収できない場合があります。上の余裕6パックは計算例の仮定です。最大使用量、仕入先の変動、保管場所、期限、欠品時の影響を見て調整し、欠品しないことを保証する数値とは扱いません。

利用人数の変化も見直しのきっかけになります。ただし、人数と消耗品の使用量が常に比例するとは限りません。利用者の状態や職員を含む使用状況も確認し、欠席・利用予定の管理と、物品の実際の減り方を併せて見ます。

4.発注済みの数量を足して、二重注文を防ぐ

棚の残りが16パックを下回っていても、前日に注文した物が届く予定なら、同じ注文を重ねる必要がない場合があります。発注を判断する際は、次の合計も確認します。

在庫位置 = 通常の利用可能在庫 + 発注済みで未納の数量

ここでいう「在庫位置」は、手元の数量と発注残を合算した管理上の数です。本記事では、未納分の到着予定を確認でき、他用途への取り置きがない単純なケースを想定します。出庫予定や取り置きがある場合は、その分を別途差し引いて判断する必要があります。

発注量の計算例(架空)

発注を検討する水準:16パック
発注後の在庫位置の目標:36パック
発注単位:20パック/ケース

手元16パック・発注残0パックなら、在庫位置は16パック。水準に達しているため、36 − 16 = 20パックを1ケース発注します。

翌日、手元が14パックになっても、発注残20パックが予定どおり届くなら、在庫位置は34パックです。16パックを上回るので、このルールでは追加発注をしません。

36パックという目標も、説明用の仮定です。発注単位、次回の発注時期、保管場所、期限を踏まえて事業所ごとに決めます。発注単位に合わせて切り上げる場合は、到着時に保管できる量かも確認してください。

合計数が足りていても、到着する前に手元が尽きるなら対応が必要です。未納分には納品予定日を必ず記録します。遅延や欠品の連絡があった場合は、仕入先への確認や、承認された代替品の調達を検討します。単に「注文済み」と書くだけでは、到着まで足りるか判断できません。

5.管理表は「確認・発注・受領」を一続きにする

数えた人と注文した人が違うこと自体が問題なのではなく、どこまで済んでいるか分からない状態を減らすことが目的です。紙の表でも共有ファイルでも、最新版と記入場所を一つに決めます。

管理表に残す項目と役割
段階残す項目
品目の設定品名・規格/数える単位/発注単位/置き場所/確認間隔/納期/発注水準/目標数量
在庫の確認確認日時/利用可能在庫/発注残/到着予定/確認者
発注発注日/数量/仕入先/納品予定日/発注者/必要な承認
受領受領日/実際の数量・規格/保管場所/受領者/未納や相違の有無

物品が届いたら、発注残から受領分を減らし、利用可能在庫へ加えます。20パック中10パックだけ届いたなら、残り10パックは未納として予定を確認します。受領した数量と発注残の両方に20パックを残すと、同じ物を二重に数えてしまいます。

発注担当者が休みの日の代行者と、予定外の購入を相談する相手も決めておきます。担当変更時の情報共有は、申し送りの記録例と確認表も参考に、数量・予定日・次の担当者が分かる形にします。

6.通常在庫と災害用備蓄は、用途を分けて数える

日常の発注目安に使う「余裕」と、災害時に必要な備蓄は、目的が異なります。通常の計算で余りが出たからという理由だけで、BCP(業務継続計画)で確保する物資を減らさないようにします。

厚生労働省の自然災害に関する業務継続ガイドラインでは、必要な物資を整理・準備し、担当や連絡体制を含めて共有・見直しを行う考え方が示されています。[3]備蓄量は、事業所の災害想定や継続する業務に合わせて検討します。

日常的に使いながら備蓄を更新する場合は、物理的に別の倉庫へ置くかどうかにかかわらず、確保する数量、使用期限、補充する担当者と時期が分かる記録にします。通常在庫に含める分と備蓄として確保する分を、同じ数量として重ねて数えないことが大切です。

7.4週間後に、購入額と現場の負担を見直す

試す期間を、例えば4週間と決めます。これは効果が出る期限ではなく、ルールを振り返るための区切りです。期間中は、次の項目を記録しておきます。

  • 欠品や、欠品しそうになった場面。
  • 緊急購入の回数と、買いに出た時間。
  • 二重注文、誤った規格の購入、期限切れ・破損による廃棄。
  • 在庫確認と発注にかかった時間、特定の職員への負担の集中。

購入額が下がっても、以前に買った在庫を取り崩しただけなら、使用量が減ったとは判断できません。期首・期末の在庫と、入荷・払出・廃棄の記録を併せて確認します。単価を比較するときも、1ケースの価格だけでなく、入数、送料、納期、使用期限など条件をそろえます。

管理のために数える時間が増え過ぎたら、品目数や確認方法を見直します。欠品時の影響が大きい物は確認を手厚くし、使用量が安定した物は無理のない運用へ整えていきましょう。

8.次の発注前に、1品目だけ基準を決める

まず1品目について、規格、数える単位、通常の使用量、納期、発注残を確認してください。そのうえで、誰がどの間隔で数え、何を目安に発注し、受領後にどの記録を直すかを決めます。

少なく買うことだけを目標にせず、必要な物が、必要なときに、担当者が変わっても使える状態を目指すことが、現場と経営の両方に役立つ在庫管理につながります。

参考資料・関連記事

  1. 厚生労働省「介護分野における『生産性向上』とは? 介護の生産性」(業務改善と介護の価値向上の考え方)。
  2. 厚生労働省「職場環境の整備」(5Sと改善の進め方)。
  3. 厚生労働省「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」(PDF)(物資の準備、役割・連絡体制、継続的な見直し)。

参考資料の確認日:2026年10月11日。発注水準・目標数量の計算例と管理表は当サイトの提案であり、厚生労働省が定めた数量や算式ではありません。

LIFE-POWERS
ケーさん
ケーさん
人生に力と彩を
高校まで野球一筋の人生。 強豪校で経験を積み怪我でプロの夢を断念。 経験を活かし柔道整復師の資格を取得。 接骨院勤務後、介護の道へと進み、大規模型の通所介護施設で施設長を4年務め社内の旗艦店へと成長させる。 様々な経験と知見を皆さんへ還元したいとの思いでブログ開設に至る。 趣味:野球、ゴルフ、スポーツ観戦、筋トレ
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