退院後にデイサービスを再開するとき|家族が病院・施設へ確認したいこと
退院が決まると、「以前のデイサービスに、いつから戻れるだろう」「病院で聞いたことを、どこまで施設に伝えればよいのだろう」と迷うことがあります。
再開に向けて大切なのは、退院後の生活上の注意点と、デイサービスで必要になる支援を、利用前にすり合わせることです。退院日だけで予定を決めず、病院、ケアマネジャー、施設へ早めに相談しましょう。
この記事では、入院前に利用していたデイサービスへの復帰を考えているご家族に向けて、通所介護施設の施設長の立場から確認事項を整理します。病院への質問例、施設への連絡文、再開後の振り返りメモも用意しました。
最初の連絡は、全部分かってからでなくて大丈夫です。
「退院予定日」「再開を希望する時期」「入院前と変わったこと」「まだ確認できていないこと」を、分かる範囲で伝えます。利用日を確定するために必要な確認は、その後、関係者と進めます。
1.退院の見通しが立ったら、ケアマネジャーと施設へ連絡する
退院当日は、会計、薬の受け取り、帰宅の準備などが重なります。退院の見通しが立った段階で、担当のケアマネジャーとデイサービスへ連絡すると、再開に向けた相談時間を取りやすくなります。
ケアマネジャーには、退院後の生活全体について相談します。施設には、利用再開に向けた窓口や、確認しておいてほしい情報を尋ねてください。担当者同士の連絡状況が分からないときは、「この内容は施設にも伝わっていますか」と確かめます。
病院側では、病棟の看護師や退院支援の窓口に「退院後もデイサービスを利用したい」と伝えます。必要に応じて、病院とケアマネジャー、施設が直接情報を共有する方法を相談しましょう。家族だけで医療上の説明をすべて伝え直す必要はありません。
例えば、福島県の県北医療圏では、病院とケアマネジャーが入院中から情報を共有し、退院に向けてサービスを調整する仕組みを示しています。地域や病院で進め方は異なりますが、退院前から相談する意義が分かる例です。[1]
最初に聞いておきたいこと
「再開の相談はどなたにすればよいですか。病院に確認すること、施設へ渡す資料、利用日が決まるまでの流れを教えてください」
ここでは、「家族の希望日」と「施設と確認できた再開日」を分けて記録しておくと、送迎などの行き違いを防ぎやすくなります。
2.退院前に病院で聞きたい、5つのこと
病名や治療の経過に加え、「デイサービスで一日を過ごすときに、何に気をつけるか」を質問します。主治医への確認が必要なことや、薬剤師・リハビリ職などに聞くことは、病棟の看護師や退院支援担当者に窓口を相談してください。
| 確認すること | 質問例 |
|---|---|
| 移動・運動・入浴 | 歩行や体操、車への乗り降り、入浴に制限はありますか。どのような介助が必要で、制限を見直す時期はいつですか。 |
| 食事・水分 | 食べ物の形状、飲み物、食事中の姿勢や介助について、施設に伝える指示はありますか。食事や水分の制限はありますか。 |
| 薬の変更 | 入院前から変更・中止になった薬はありますか。現在の薬、飲む時刻、使用上の注意が分かる資料を確認できますか。 |
| 継続する処置・ケア | 退院後も必要な処置は何ですか。実施する時刻、担当する人、必要な物品について、施設と共有する内容はありますか。 |
| 体調が変わったとき・次の受診 | どのような変化があれば、どこへ連絡すればよいですか。夜間・休日の相談先、次回受診日、退院後に診てもらう医療機関を教えてください。 |
この表は質問を整理するためのものです。食事形態や運動量などを家族が自己判断で変更するための基準ではありません。本人の状態に応じた説明を受け、その内容を施設につなぎます。
薬については、「以前と同じだと思う」という記憶だけで伝えず、退院時の説明書や更新されたお薬手帳で確認します。国立病院機構北海道医療センターも、退院時の薬の説明書やお薬手帳を、ほかの医療機関や施設で活用できるようにすると案内しています。[2]
資料の内容が食い違う、飲み方が分からないといった場合は、医師や薬剤師に確認してください。通所中の服薬支援が必要なら、施設側にも、預かり方や確認に必要な資料を尋ねます。
病院からの書類は、すべてを家族が新たにそろえる前提にする必要はありません。どの情報を、誰から誰へ渡すかを確認し、手元の資料と関係者間の情報提供を組み合わせて準備しましょう。
3.施設には「入院前との違い」を、生活の場面で伝える
以前から利用している施設でも、退院後の状態を見ていなければ、必要な支援を把握できません。「少し弱っています」「だいたい元どおりです」に加えて、どの動作で、どのような助けが必要になったかを伝えます。
| 場面 | 入院前 | 現在、分かっていること |
|---|---|---|
| 移動 | 自宅内は杖を使って歩いていた。 | 病院では歩行器を使っていると説明を受けた。玄関の段差を越える方法は、まだ確認できていない。 |
| トイレ | 手すりを使い、一人で立ち上がっていた。 | 現在は立ち上がるときに介助が必要と説明を受けた。施設での介助方法を相談したい。 |
| 過ごし方 | 午後の活動にも参加していた。 | 退院後は本人が「午後は横になりたい」と話している。休める場所と利用時間を相談したい。 |
「病院から聞いたこと」「帰宅後に家族が見たこと」「まだ分からないこと」を分けると、確認する相手が明確になります。説明を受けた日や、変化に気づいた日も添えてください。
食事、排泄、着替え、会話の理解、眠り方なども、変化があれば伝えます。実際に使っている歩行器などの福祉用具や、退院後に増えた処置についても、入院前の情報のままにならないよう共有しましょう。福島県の情報共有シートでも、移動、食事、排泄、服薬、医療処置などが確認項目になっています。[3]
本人の希望も大切です。「また友人に会いたい」「お風呂は入りたいが長時間は心配」など、本人の言葉を添えます。家族が仕事を休める期間や、日中の介助が難しい時間帯も、再開方法を考えるための情報です。
4.再開前に、送迎から帰宅までの支援を決める
病院で説明された注意点を、施設の設備や職員体制、送迎方法に合わせて確認します。必要な処置が増えた場合などは、希望する曜日・時間帯に対応できるかまで相談してください。
- 送迎:玄関から車までの移動、段差、乗り降りをどう支えるか。必要な福祉用具を持参するか。
- 滞在中:食事、服薬、トイレ、入浴、休息について、病院からの指示と必要な介助を共有できているか。
- 利用時間:本人の希望と負担を踏まえ、以前の時間で再開するか、時間や活動を調整するか。
- 途中で体調が変わったとき:家族への連絡先、つながらない場合の連絡先、迎えが必要な場合の相談方法は決まっているか。
- 再開後の相談:初回の様子を誰から聞き、次回の利用方法をいつ相談するか。
「最初は短い時間にしたい」という希望も相談できます。ただし、短時間利用や個別の送迎が可能か、費用がどうなるかは施設によって異なります。必ず短時間から始めると決めるのではなく、本人の状態と提供できる支援に合わせて調整します。
入院前より多くの支援が必要になったときは、ケアマネジャーにケアプランの見直しを相談しましょう。現在の施設だけでは必要な支援を組み合わせにくい場合も、ほかのサービスを含めて検討できます。
退院前に関係者が話し合えるかを尋ねる方法もあります。岡山市立金川病院では、家族、病院職員、ケアマネジャー、デイサービス職員などが退院後の生活を話し合う取り組みを紹介しています。すべての病院で同じ会議が開かれるわけではありませんが、複数の確認事項を一緒に相談したいときの参考になります。[4]
5.電話やメールで使える、利用再開の連絡文
次のひな形は、最初の相談に使うものです。空欄を埋めるために連絡を遅らせず、不明な点は「確認中」と記載してください。電話で伝えるときの手元のメモにも使えます。
件名:〇〇の退院に伴うデイサービス再開の相談
いつもお世話になっております。〇〇の家族の〇〇です。
〇月〇日に退院予定です/退院しました。〇月〇日ごろからの利用再開を希望しており、ご相談したく連絡しました。
【入院前から変わったこと】
移動・トイレなど:____
食事・水分:____
薬・継続する処置:____
【病院から説明された注意点】
____(説明を受けた日:〇月〇日)
共有できる資料:____
【本人の希望と家族の事情】
____
【まだ確認できていないこと】
____
確認予定の相手・確認する人・予定日:____
担当ケアマネジャーは〇〇さんです。
再開前に必要な確認、資料の渡し方、利用日と送迎についてご相談させてください。
連絡先:____/連絡がつきやすい時間:____
メールは、施設が案内している連絡先・方法を使います。返信がない状態で再開日が確定したとは考えず、初回の日時と送迎を確認してください。利用日が近い場合は、電話で相談すると返答をその場で確かめられます。
特に、「未確認のことを、誰が、いつまでに確認するか」を決めておくと、同じ質問を家族、ケアマネジャー、施設が別々に問い合わせる行き違いを減らせます。
6.再開した日の夜と翌朝の様子も共有する
初回の利用を終えたら、施設での様子を聞くだけでなく、帰宅後の本人の様子も伝えます。疲れ方、食事、痛み、眠り方などに変化があれば、いつから、どのように変わったかを短く記録してください。
伝え方の例(架空の文例)
「昨日の帰宅後は、夕食前に1時間ほど横になっていました。本人は『久しぶりに話せて楽しかったが疲れた』と話しています。施設では休む時間を取れましたか。次回の過ごし方を相談したいです」
変化を「通ったから疲れただけ」と決めつけず、病院から説明された連絡・受診の目安に当てはまる場合や、気になる症状が続く場合は医療機関へ相談します。医療機関への連絡が必要な場面で、施設からの返事だけを待たないようにしましょう。
国立長寿医療研究センターの退院後支援の説明でも、薬の管理、病院へ連絡すべき症状の確認、受診・連絡の支援、健康状態の記録が取り上げられています。[5]
日々の記録には、デイサービスの連絡帳の書き方も参考にしてください。利用を見合わせることになった場合は、デイサービスを休むときの連絡方法で、伝える内容を確認できます。
家族と担当者で使う、再開前の確認メモ
最後に、相談の結果を一か所にまとめるメモです。「未確認」は消さずに残し、相談相手と確認予定を記入します。安全に利用するために先に確認すべき内容がある場合は、それを解決したうえで再開日を決めてください。
| 決めること | 確認できた内容・残っていること |
|---|---|
| 初回の利用日・時間・送迎 | ____(希望・調整中・確定) |
| 病院の指示と、施設へ共有する資料 | 内容:____ 誰から誰へ・いつ:____ |
| 食事・薬・移動・入浴などの支援 | 入院前との変更点:____ 施設と確認した対応:____ |
| 未確認のこと | 内容:____ 確認する人・相手・予定日:____ |
| 体調変化時の連絡 | 医療機関の連絡先・連絡する目安:____ 家族の連絡先・つながらない場合:____ |
| 初回利用後の振り返り | 相談する相手・時期:____ |
以前の通い方に戻すことだけを目標にせず、本人が楽しみにしていることと、今必要な支援を両方伝えてみてください。再開前に条件を確かめ、実際に過ごした様子を共有することが、無理の少ない通い方を相談する手がかりになります。
参考資料
確認日:2026年9月29日。本文の質問例・連絡文・確認メモは、下記資料の情報共有の考え方を参考に、通所介護の利用再開に向けて独自に整理したものです。各機関が定める様式や、全国共通の利用再開基準ではありません。
- 福島県「(県北医療圏)退院調整ルール」 — 病院とケアマネジャーの退院前からの連携。
- 国立病院機構北海道医療センター「薬剤部」 — 「薬剤管理指導」における退院時の情報提供。
- 福島県「情報共有シート」(PDF) — 入退院時などに共有する生活動作・医療処置等の項目。
- 国立病院機構岡山市立金川病院「各部門のご紹介」 — 退院前カンファレンスと地域との情報共有。
- 国立長寿医療研究センター「地域医療連携とトランジショナル・ケア」 — 退院後の療養を支える確認・連絡・記録の考え方。
