デイサービスで使える座って楽しむレクリエーション5選 準備と進め方
レクリエーションの担当になると、「何をすれば盛り上がるか」と考えがちです。しかし、実際に準備で必要なのは、道具、時間、ルール、参加しにくい方への調整まで決まっている案です。
ここでは、座って行うことを基本に、施設の職員が準備しやすい5つの実施案を紹介します。人数と時間は企画上の目安で、実施効果を検証した数値ではありません。本人の希望、体調、認知機能、聞こえ方、見え方に合わせて変更してください。
始める前に確認すること
安定した椅子を使い、足元と通り道を空けます。車椅子は状態に合った姿勢とブレーキを確認し、必要な介助は担当職員へ相談します。痛みや強い疲れがある方に動作を強制せず、見学、採点、道具選びなどの参加方法も用意します。
小物を口に入れるおそれがある方には、誤飲につながる道具を使いません。床に落ちた物は職員が拾い、本人が急に立つ、前へ大きく手を伸ばすといった動きが起きない配置にします。
| 実施案 | 人数の目安 | 時間の目安 | 主な道具 |
|---|---|---|---|
| 季節の言葉集め | 4〜10人 | 10〜15分 | ホワイトボード、ペン |
| タオルたたみと仕分け | 2〜6人 | 10〜15分 | 清潔なタオル、かご |
| 卓上の的入れ | 2〜6人 | 10〜15分 | 柔らかい布玉、浅いかご |
| 写真から広げる会話 | 3〜8人 | 15〜20分 | 使用許諾を確認した写真 |
| 紙コップの並べ替え | 2〜6人 | 10〜15分 | 紙コップ、大きな色カード |
1 季節の言葉集め
くり / さつまいも
職員が例を示し、出た言葉を大きく書く。
思い出せないときは、二択やうなずきでの参加も。
企画例です。知識や記憶の正確さを試す使い方にしないでください。
準備と進め方
「秋の食べ物」など、身近なテーマを一つ選びます。最初に職員が例を二つ示し、思いついた言葉を自由に出してもらいます。発言を大きな文字でボードへ書き、最後に集まった言葉を読み返します。
正解数を競うだけにせず、「それはどのように食べましたか」と会話を広げます。同じ答えが出ても間違い扱いせず、うなずく、選択肢から選ぶといった参加も受け入れます。
参加しやすくする工夫
言葉が出にくい場合は、写真や二択を使います。発言順を固定すると緊張する方もいるため、答えたい人から話す方法も選べます。聞こえにくい方には、口元が見える位置で一人ずつ話します。
振り返ること
答えの数より、どの話題で発言や表情が変わったかを記録します。次回は反応の良かったテーマを深めます。
2 タオルたたみと仕分け
速さや仕上がりを競わず、本人の希望を確認します。
準備と進め方
清潔なタオルを机に置き、「半分にたたむ」「同じ色をかごへ分ける」など、一つずつ説明します。最初から工程を全部伝えるのではなく、職員が見本を示してから始めます。
作業の速さや仕上がりを競う必要はありません。本人に参加の意思を確認し、家事の役割を押しつけないようにします。
参加しやすくする工夫
片手を使いにくい方には滑りにくい台や大きめのタオルを用意し、必要な調整を担当職員と相談します。たたむことが難しいときは、色を選ぶ、かごの位置を決めるなどに変えます。
振り返ること
どの工程を自分で行えたか、どこで支援が必要だったかを残します。次回の説明を増やすのか、工程を減らすのかが決めやすくなります。
3 卓上の的入れ
本人に合わせた位置
軽く投げる/机上を滑らせる
姿勢が崩れない範囲に調整
机を上から見た配置の概念図です。距離の縮尺はありません。落ちた玉は職員が拾います。
準備と進め方
机上の届きやすい位置に浅いかごを置き、柔らかく十分な大きさのある布玉を使います。1人3回など回数を決め、軽く投げるか、机の上を滑らせて入れます。距離は本人の姿勢が崩れない範囲に調整します。
的を遠くして難しくする前に、動作を確認してください。肩や肘に痛みがある方は、無理に投げず、別の役割に変更します。
参加しやすくする工夫
片側が見えにくい方などには、的の位置を個別に調整します。個人対抗で緊張する場合は、「全員で合計何個入るか」に変えます。落ちた玉を拾う役は職員が担当します。
振り返ること
適した距離、使いやすい手、疲れが出た時点を記録し、次回の設定に反映します。
4 写真から広げる会話
この記事の図は進行の説明用です。活動で使用する実際の写真は、本人の好みに合わせて用意します。
準備と進め方
季節の風景、道具、食べ物などの写真を数枚用意します。職員の撮影写真や、利用条件を満たした素材を使います。写真を一枚ずつ見せ、「知っていますか」「どんな使い方をしましたか」と話を広げます。
記憶を試す質問を続けたり、答えを訂正し続けたりせず、本人が話したい内容を聞きます。昔の出来事がつらい記憶につながる場合もあるため、話したくない様子があればテーマを変えます。
参加しやすくする工夫
写真は大きく、背景が複雑すぎないものを選びます。「海と山、どちらが好きですか」のように、経験を思い出せなくても答えられる聞き方を用意します。
振り返ること
次回に使いたい話題と、避けた方がよい話題を必要な範囲で共有します。個人的な話を本人の了解なく外部へ掲載しないようにします。
5 紙コップの並べ替え
カード:赤・○
カード:青・△
色に加えて形や文字を併記します。図は2種類の例。コップを高く積まず、手を伸ばしすぎない位置に置きます。
準備と進め方
机に大きな色カードを並べ、対応する印を付けた紙コップを同じ色の場所へ置きます。最初は2色、少ない個数から始め、説明を理解しやすい量にします。コップを高く積む必要はありません。
参加しやすくする工夫
色の区別が難しい方には形や文字を併記します。手を伸ばしすぎない配置にし、握りにくければ大きさを変えます。速さを競うと焦る方には、共同で一つの並びを完成させる方法にします。
振り返ること
色数、個数、見本の有無によって参加しやすさがどう変わったかを記録します。
5つの中から選ぶときは、参加しやすい方法を先に考える
同じ日に全員が同じレクをする必要はありません。会話が好きか、手を動かしたいか、勝負を楽しみたいかを本人に確かめ、その日の体調や、職員が必要な支援を行えるかに合わせて選びます。
- 会話を中心に楽しみたいときは、季節の言葉集めや写真から広げる会話。順番に答える方法が苦手な方には、自由に発言できる進め方を用意します。
- 自分のペースで手を動かしたいときは、タオルたたみや紙コップの並べ替え。見本を近くに置き、一度に示す道具を少なくして始めます。
- 簡単な勝負を楽しみたいときは、卓上の的入れ。競争が負担になる方には、個人の順位を付けず、協力して取り組む方法へ変えます。
発言が少ないことだけで、楽しんでいないとは判断できません。見て楽しむことも含め、本人の言葉や表情を確かめます。参加を望まない場合には、静かに過ごすなど別の選択肢を用意してください。
季節の言葉集めを15分で行う進行例
次は企画用の一例です。15分を達成目標にせず、本人の疲れや集中の様子によって短くします。
- 最初の2分:テーマを紹介します。「今日は秋の食べ物を集めてみませんか。聞いているだけでも大丈夫です」と、参加方法を伝えます。
- 次の3分:職員が「栗」「さつまいも」などの例を示します。言葉が浮かびにくければ、写真を見せたり、二つから選んでもらったりします。
- 次の7分:出た言葉を大きく書き、「焼くのと煮るのでは、どちらが好きですか」など、好みを聞いて会話を広げます。全員に順番で答えを求める必要はありません。
- 最後の3分:出た言葉を読み返し、次に扱いたいテーマを尋ねます。疲れている方がいれば、予定より早く締めくくります。
進行が止まったときの対応例
答えが出ないとき
すぐに説明を重ねず、考える時間をとります。それでも難しい場合は、テーマを狭める、写真を見せる、二択にするなど、答え方を変えます。「さっき説明しましたよ」と指摘するより、もう一度見本を示しましょう。
一人の発言が続くとき
話を否定せず、「そのお話も面白いですね。ほかの方はどちらがお好きですか」と全体へ戻します。全員の発言時間を同じにすることより、聞きたい人と話したい人の両方が過ごしやすい進行を目指します。
勝敗に納得できない方がいるとき
まず本人の話を聞き、説明が伝わっていたか、見えにくさや道具の扱いにくさがなかったかを確認します。一人だけをなだめて続けるより、休憩を入れる、協力形式へ切り替えるなどを全体に説明します。本人の了承なくルールを次々に変えないようにしましょう。
予定より早く終わったとき
時間を埋めるために問題数や回数を増やす必要はありません。感想を聞いて終えることもできます。追加する場合は「もう一回してみますか」と希望を確認し、疲れの様子も見て判断してください。
次回に使える振り返りの残し方
終了後は「盛り上がった」だけで終えず、使った道具、人数、実施時間、説明方法、参加の仕方、難しかった場面を残します。例えば「二択にすると答えやすかった」「途中から見学へ切り替えた」など、次の担当者が再現できる書き方が役立ちます。
楽しかったかどうかは、本人の言葉や表情を手がかりに確かめます。これらのレクに、認知症を予防したり身体機能を必ず改善したりする効果を保証するものではありません。本人が安心して参加できる時間をつくることを、まず大切にしてください。
